急速に進むガス火力発電パイプライン拡張
アメリカでは今、ガス火力発電所やパイプラインの建設計画が急速に進んでいます。2025年には、ガス火力発電の前建設段階の容量が前年の約6倍にまで膨らんだと報じられました。その背景には、生成AIやクラウドサービスを支える大規模データセンターの登場による電力需要の急増、そして化石燃料を優遇する政策があります。
AIを支えるためには、太陽光や風力のように不安定な電源よりも、24時間安定して稼働できる天然ガスが重宝されます。そのため、電力会社とテック企業が天然ガスの確保をめぐって競争を繰り広げているのです。
LNG輸出業界との摩擦
アメリカは世界最大のLNG(液化天然ガス)輸出国でもあります。ヨーロッパやアジア向けに長期契約を抱える輸出業者に対して、国内の電力会社は「急増する国内需要に優先的に回すべきだ」と主張。結果として、国内と輸出市場の両方で天然ガスの取り合いが起こり、価格が押し上げられています。
この影響はすでに一般家庭にも及んでいます。2025年にはアメリカの平均電気料金が前年比で約10%上昇しました。光熱費の上昇が生活にどう響いているかについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
政策が後押しするガスシフト
この流れは市場の動きだけではなく、政治によっても後押しされています。トランプ政権は再生可能エネルギーへの優遇策を縮小し、化石燃料開発を加速する政策を推進。ガスインフラの承認手続きは簡素化され、新規プロジェクトが次々と進められています。
支持者は「エネルギー安全保障と低コスト維持のために必要だ」と評価する一方、批判的な声は「家庭の負担を増やし、気候変動対策を後退させるものだ」と強調しています。
アメリカ人の生活への影響
こうした動きは日々の暮らしにも直結しています。
- 電気代の上昇:ニューヨーク州やニュージャージー州では、月額の電気料金が175ドルから300ドル以上に跳ね上がった家庭も。
- 生活費の増加:ガス価格上昇は暖房や調理費用だけでなく、物流コストを通じて食品価格にも影響。
- 将来への不安:電力会社による大規模な値上げ申請が相次ぎ、家計への圧迫感が強まっています。
エネルギー転換のジレンマ
天然ガスは石炭よりクリーンで、AI時代の電力需要を支える「架け橋」とされています。しかしその急速な拡大は、家庭の生活コスト上昇や輸出市場との摩擦を引き起こし、矛盾を抱える存在となっています。
今後、アメリカが国内需要、国際的な役割、そして気候変動対策の間でどのようにバランスを取っていくのかが、大きな焦点となるでしょう。



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